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PLACE|コミュニティ再生を目指す「まちづくりなみえ」

ひと足お先に移住した先輩が、「誰かが移住してきたらまず連れて行きたい!」と思う、とっておきの場所をご紹介。今回は、浪江町で地域コミュニティ再生を推進する「まちづくりなみえ」。

浪江町は、2017年3月末に避難指示が解除(「帰還困難区域」を除く)されて以来、まさに復興・再生の真っ最中だ。それから約1年、2018年4月より浪江町から「町内コミュニティ再生支援事業」を受託する形でスタートした一般社団法人がある。その名は、ずばり「まちづくりなみえ」。

「まちづくり」と言われると、なんだかスケールの大きな仕事というイメージが思い浮かぶが、実際のところはどのような活動なのだろうか。スタッフの一人である引地裕子(ひきち・ゆうこ)さんにお話を聞いた。
「ここでは、行政区で住民自治を立ち上げ、町内のコミュニティを再生するという仕事に取り組んでいます。浪江町には49の行政区があるので、まずはじめにそれぞれの行政区長さんに会ってお話を聞いていくんです」。

行政区とは、例えば、回覧板の伝達やお祭や懇親会といった集まりごとを執り行う、数軒から数十軒がひとつにまとまった組織。まさに地域コミュニティの最小単位と言えるかもしれない。その代表である区長から、現在抱えている地域の課題をヒアリングしていく。2018年6月から入社したという引地さんは、こうした地域のスケールを体感し「まちづくりはここから始まるんだ」と実感したそう。

区長からの聞き取りと並行し、町民にも実際にお宅まで足を運び、話を聞くこともある。そういった地道な聞き取りを通じて見えてきた課題に対し、「場づくり」を通じて解決を目指す。2018年夏には、街に戻る機会のひとつとなっているというお墓参りの場に、交流をつくるための憩いのスペースを設置したという。その取り組みには現場に近い彼らならではの細やかでローカルな視点が宿る。

現在は、町内コミュニティ再生支援事業には7名のスタッフが在籍。それぞれに担当を分けながらも、課題の共有や意見出しは、分け隔てなく行っているそう。2018年末には浪江駅前にカフェ「もんぺるん」をオープン。コミュニティ再生に向けた場づくりの取り組みはさらに充実していきそうだ。

(2018/12/10取材)

  • 取材:石川ひろみ
    執筆:酒井瑛作
    撮影:小林茂太
  • まちづくりなみえ
    〒964-0904
    福島県二本松市郭内1-81
    詳細ページ:http://www.mdnamie.jp/