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PLACE|浪江町の生活に寄り添う「まち・なみ・まるしぇ」

ひと足お先に移住した先輩が、「誰かが移住してきたらまず連れて行きたい!」と思う、とっておきの場所をご紹介。第六回目は、浪江町の住民が交流する「まち・なみ・まるしぇ」。

(写真は2018年9月時点)

2016年10月に浪江町の町役場敷地内に建設された「まち・なみ・まるしぇ」の名称は、公募ののち選ばれたそう。中心に木製のテーブルとベンチが配置され、それを囲むように9店舗が並んでいる。いくつかのお店をご紹介しよう。まずは飲料、日用雑貨などを扱う「リラクア」。地酒やお土産物なども販売し、憩いの場として店内に机と椅子を設置しており、町民の方々が集まっておしゃべりする場となっている。

中でも特に人気の商品は日本酒「親父の小言」(冒頭写真)。ラベルには45ヶ条の格言が記され、日本酒の他に湯のみやTシャツなどの関連グッズも。震災後、拠点を移しながら販売を再開し、浪江町に根付く文化を代表するシンボルとなっている商品だ。

食堂「キッチン・グランマ」では、スタッフとして「おばあちゃん」たちが働き、「普通のお母さんやおばあちゃんが作るような料理を出している」そう。お店の看板である定食は、固定メニューはなく、潔く「日替わり」の1種類のみ。無理なく営業するために行き着いた形だそうだ。ちなみに、取材をした日のメニューは鯖の味噌煮。家庭料理のような安心感のある味は多くの人が求めているようで、お客さんが途切れない様子。

他にも、日用品が揃う雑貨店や海鮮を堪能できる和食処、軽食のあるカフェ等、暮らしの「当たり前」を支える店舗が連なり、浪江町に暮らす人々の生活に寄り添う。毎月第2土曜日・日曜日には「まるしぇの日」として、音楽、ダンス、伝統芸能といったパフォーマンスイベントや季節の催事を実施している。浪江町の拠点として活気がさらに増していきそうだ。

(2018/9/11 取材)

  • 取材・執筆:石川ひろみ
    撮影:出川光
  • まち・なみ・まるしぇ
    住所:〒979-1592
    福島県双葉郡浪江町大字幾世橋