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COMMUNITY|「おだかぷらっとほーむ」が目指す、自由で勝手なやり方

移住する人の周りには、それを支えるコミュニティが必ずある。仕事場や何気ない会話を交わす人の輪。この連載「COMMUNITY」では、変化する福島復興エリアの街をリードし、支えるコミュニティで起きていることと、その可能性を伝えていく。
第二回目は南相馬市小高区の駅前通りにある「おだかぷらっとほーむ」。この街に足を運ぶ人たちや住民たちの交流スペースとなっている。

通りから中を覗くと、なにやら楽しそうにおしゃべりをしている人たちが見えた。ここは住民交流スペースとして、2015年7月に設立された「おだかぷらっとほーむ」。住民の方々はもちろん、県外からの人々もやってくる。

代表の廣畑裕子(ひろはた・ゆうこ)さんにこのスペースがどんなふうに利用されているか尋ねてみると「みんな好き勝手に使ってるよ」と笑いながら答えくれた。「“誰かの場所”にしてしまうのではなく、地元の人も県外から来た人も、みんなが好き勝手に使えるような“入りやすさ”が重要なんです」そう廣畑さんは続ける。「勝手」であることは、この場所において重要な意味を持つのだ。

お話していると地元の方がやってきた。すかさず「どうぞどうぞ!」と招き入れる。ここに訪れる方には、まずはお茶を一杯。あとは自由だ。本棚に並べられた本を手に取り読んだり、困りごとを相談したり、ぼーっとしたりと、その人それぞれの時間を過ごす。

そんなふうに自由に過ごせるようにしているのは「誰もが居心地よく過ごせるような余白」をつくることで、ここにいてもいいんだ、と居場所を見つけてほしいからだそう。

なぜここまで寛容なのだろうか? 「とにかく小高へと足を踏み入れ、見るきっかけになるといいと思っています。私たちがどんなに言葉を尽くして説明しても伝わらない部分はあります。でも、見れば絶対にわかる。だからここに来る機会をすこしでも摘むようなことはしたくないんです」その思いを最後に廣畑さんは話してくれた。

(2018/7/4 取材)

  • 取材・文:酒井瑛作
    撮影:出川光
  • おだかぷらっとほーむ
    住所:〒979-2121 南相馬市小高区東町1丁目59
    HP:http://3bplus1-odaka.jp/