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MYSTYLE|リュックひとつで移住。持ってきたのはこだわりの本

住むところが変われば、ライフスタイルも変わる。ひと足先に移住した先輩に、移住後の暮らしに欠かせないモノや仕事道具を見せてもらいました。インタビューと合わせて読めば、彼らの毎日の過ごし方が見えてくるはず。

「リュックひとつで移住してきちゃったから、徳島から持ってきたものがなくて(笑)」。照れくさそうに笑いながら広げた持ち物は、その言葉どおりシンプルだった。福島県南相馬市原町区にある旅館、抱月荘。そこで働く片岡貴夫さんの持ち物だ。

移住前から愛用している手帳は、ここに来て予定を書き込むことが減ったという。出勤時間だけ把握して、「(旅館に)来れば仕事がある」のが今のワークスタイルだ。

家に帰ってからの時間や休日は、ノートパソコンでネットサーフィンをして過ごす。しかし、一番大事にしている情報は、インターネット上にあるとは限らない。

東日本大震災で被災し愛媛県に避難した約30人が出版した書籍、『人の痛みこの震災を転換点に』。移住してくる日のバスの中でも、これを読み思いを馳せてきた。移住後も、被災した方々の胸の内を面と向かって聞くことはたやすいことではないから、この本をずっとそばに置いている。

この地とそこにいる人に、自分らしい距離感でそっと寄り添う。片岡さんの人柄がにじみ出る物たちだ。

片岡さんのインタビューは<こちら>から。

(2018/7/3 取材)

  • 取材・執筆・撮影:出川光