INTERVIEW
インタビュー
自由な時間とやりがいある仕事を両立。50代からの移住ライフを満喫
横山祐二さん
東京で30年間アパレルの仕事をしていた横山祐二(よこやま・ゆうじ)さん。退職後に選んだ第二の人生は、川内村への移住生活だった。移住に至る経緯や移住後の暮らし、現在のお仕事についてお話を伺った。
川内村の人々に惚れ込み移住を決断
横山さんと川内村との出会いは、30年勤めた大手アパレルの仕事を希望退職した2013年のこと。「東北の生まれなので、一度は震災復興に携わらなければと思っていました」。
そんな折、NPOの活動をしていた大学時代の先輩から、川内村の日帰り温泉施設「かわうちの湯」をアルバイトとして手伝ってもらえないかと声がかかった。二つ返事で現地に赴いたという横山さん。5か月余りの活動の中で得た人とのつながりは大きかった。「その土地の印象はどんな人に出会ったかで決まると思うんです。帰る頃には涙で別れるほど、思い出深い体験でした」。
帰京後は本格的に川内村への移住を考えたという横山さん。多様なスキルを身に着けることで移住後の役に立つことができればと、大型特殊免許や、フォークリフトの免許、整体やドッグトレーナーに関する資格などを取得したそうだ。その間も川内村の人たちとのやりとりは続き、2016年、「あぶくま川内」に入社した横山さんは川内村に再び帰ってきた。
おもてなし精神で川内村の魅力をアピール
「あぶくま川内」が行っている事業は、釣り堀やレストラン、宿泊施設を併設した「いわなの郷」。日帰り温泉施設の「かわうちの湯」に、ビジネスホテルの「ビジネスホテルかわうち」。そして農産物直売所の「あれこれ市場」の4つ。横山さんは現在、取締役営業部長として「いわなの郷」での商品開発や「かわうちの湯」の運営管理を一任されている。
経験のない仕事に対する不安はなかったのだろうか?
「アパレルとはまったく違う仕事ですが、人を接客する、おもてなしするという部分は共通しています」。イベントがあれば積極的に参加し、自社開発したアヒージョや炊き込みご飯などの商品を出品。さらに、美味しさや開発までのストーリーを直接お客さんに伝えている。
また、温泉施設のおもてなしにも力を入れ、村のホスピタリティの向上にも努めた。「川内村の観光パンフレットを一番配っているのは僕だと思いますよ(笑)」。率先して村の魅力発信をする横山さんの表情は輝いている。「50歳を過ぎてからこんなにやりがいのある仕事ができるとは思ってもいませんでした!」
夫婦と愛犬で移住生活の醍醐味をしっかり堪能
忙しい日々の中、移住生活ならではのゆったりとした時間もしっかり満喫している横山さん。
「かみさんと愛犬と3人で散歩をする時間が毎日の楽しみ。毎日本当に充実していますよ」。
収入は当時の半分ほどに減ったが、地元の方から野菜をいただく機会も多く、一度も財布を開かない日も珍しくないという。昨年からは畑も始めたそうだ。「初めてでしたが見事に美味しくできて。やはり土と水が良いんでしょうね。野菜づくりがこんなに楽しいとは思ってなかったです」。
移住者だからこそ見える村の魅力
この先、川内村で挑戦してみたいことはあるのだろうか?
「最近はランニングがブームになっていますが、川内村は走るのにすごくいい環境が揃っているんです。都会ほど車は多く走っていないし活用できる遊歩道や林道も豊富にある。全国のランナーたちが集まる『ランナーズヴィレッジ』の構想を練っています」。
地元の人たちにとっては見慣れた景色も、移住者の横山さんから見れば大きな魅力に映る。
「村で働く30~40代が少ない点など課題もまだまだありますが、今後はインフラもますます整備されていくでしょうし、楽しみの方が大きいです。会社に利益を上げることと交流人口を増やすことの2つを使命だと思って、まだまだ頑張りますよ」。
移住者ならではの新しい視点を取り入れながら、村づくりができるのもこの地域ならではの楽しみかもしれない。
(2019/1/17 取材)
-
取材・執筆:七海賢司
撮影:佐藤真珠 -
いわなの郷
詳細ページ:http://www.abukumakawauchi.com