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PLACE|いわき市の復興飲食店街「夜明け市場」

ひと足お先に移住した先輩が、「誰かが移住してきたらまず連れて行きたい!」と思う、とっておきの場所をご紹介。今回は、昭和感あふれる飲食店街「夜明け市場」。

JRいわき駅前より徒歩3分、「夜明け市場」の赤い看板の向こうにちょうちんが連なる小路が伸びる。いわきを盛り上げ、震災復興を目指す飲食店街「夜明け市場」だ。夜明け市場を運営・管理する株式会社47PLANNINGの友寄良俊(ともより・かずとし)さんにお話を聞いた。

2011年11月にオープンしたという「夜明け市場」だが、最初はどのような形で始まったのだろうか?
「震災直後、47PLANNING代表鈴木賢治(いわき市出身)の想いからスタートし、震災によって継続できなくなった飲食店のオーナーやいわきを盛り上げたいと集まった起業家たちによって立ち上げられました。被災したお店が同じ場所で再建しようとすると、費用が大きくかかります。そこで、夜明け市場では複数の店舗が一堂に集まる商業集積の形にすることでそういった課題を解決し、プラスの情報を発信できる場所にしようという想いがあります」。

もともとこの場所は「白銀小路(しろがねこうじ)」と呼ばれ、映画のロケ地にも利用された昭和レトロな雰囲気を持つ飲食店街。震災後、複数の空き店舗に新たにお店が入ることで白銀小路内に「夜明け市場」がオープンした形だ。当初は、2店舗から始まり、現在は11店舗の飲食店が営業しているという。
「白銀小路には空き店舗がたくさんあり、そこを居抜き利用することですぐに営業が始まりました。この7年で店舗はけっこう入れ替わりましたね。夜明け市場の目的は、この場所から羽ばたいて、いわき全体を盛り上げていただくことなんです。なので、夜明け市場を出て、新たにお店を持たれることはうれしいことです」。

夜明け市場に軒を連ねるのは、郷土料理や焼き鳥居酒屋、イタリアンバルなど、さまざまなジャンルの飲食店。県外からもお客さんが来店し、客層は若者から年配の方々まで幅広いという。
「お客さんのメインはこのあたりに住んでいる方ですが、認知度が上がってきて県外からの問い合わせもけっこうあります。ここで飲んでいるといろんな世代の人と関わることができるのも魅力の一つだと思います。一軒だけではなく、ぜひはしごして楽しんでいただきたいです」。

「明けない夜はない」という合言葉のもと、温かな明かり灯し続ける「夜明け市場」。今後もここからいわきを盛り上げてくれることだろう。

(2018/12/12 取材)

  • 取材・執筆:石川ひろみ
    撮影:小林茂太
  • 復興飲食店街 夜明け市場
    〒970-8026
    福島県いわき市平字白銀町2-10
    詳細ページ:http://www.touhoku-yoake.jp/