INTERVIEW
インタビュー
福島で復興への貢献を。「特装車」の整備、販売、修理を行うプロフェッショナル集団
矢野口自工株式会社
矢野口自工株式会社は、「特装車」をメインに扱う会社です。
特装車とは、人々の生活を支える「はたらく車」。そんな特装車を買える、売れる、レンタルできる、
修理できるのが矢野口自工株式会社の最大の特徴です。
楢葉南工業団地に2019年に新設した浜通り営業所では、大型塗装工場を完備し、次世代に必要とされる働く車の研究や開発にも新たに取り組んでいるのだそう。
「特装車を通して地域経済や復興への貢献を目指していきたい」と話す代表取締役矢野口智一さんに、
福島に営業所を新設したきっかけや業務に対する想いを伺いました。
除染作業車で震災後の復興の後押しを!
矢野口自工株式会社は日本の自動車産業の幕開けとともに、商業車の自動車整備工場として1952年に創業。
吸引車や下水道の洗浄車、ゴミの回収車など特装車の整備・修理を主にしながら、時代の需要に合わせて販売やレンタル、作業の請負など事業を展開してきました。
「ほかとは違った特殊なことが得意な会社なんです」と軽快な口調で話すのは、代表取締役の矢野口智一さん。
矢野口自工株式会社が福島と関わりを持つようになったきっかけは、東日本大震災だったそうです。
「福島第一原発事故により生じてしまった道路の放射性物質を、
いち早く安全に、除染ができる車はないだろうか?」と相談を受けたことがはじまりでした。
「当時、日本には道路を除染できるような車がなく、すべて手作業で行う、
大変な作業だったんです。そこで、ドイツの会社に問い合わせをしてみると、
ヨーロッパの街並みにある石畳を洗浄する車ならあると言うんです、すぐに現地に駆けつけて、
福島の除染作業に使えないだろうかと検討しました」
「早速、ドイツから13台の洗浄車を輸入して自社で除染車両に改造し、福島の現場に持って行くと、
『これだ!』と沸き立ちました。」
こうして矢野口自工は、
浜通り地域の除染を一手に引き受け、復興の後押しに尽力されたそうです。
国内有数の大型塗装工場を完備
「そうこうしているうちに人の温かさに触れることも多く、だんだん福島に愛着が湧いてきてしまってね。
ちょうど工場を新設したいと考えていたので、それならと楢葉町に営業所を出そうということになったんです」
矢野口自工株式会社では、2019年福島浜通り営業所を新設しました。
浜通り営業所では、塗装と整備をメインに業務を行っています。国内でも有数の大型塗装工場を
完備しており、精鋭の職人が作業に当たっています。
「塗装作業はいったん全てのパーツをバラして、塗装して、また全部を組み立て直しています。
特装車なので作業は皆さんが想像するよりも細かく、相当大変です。そのため、多くの台数はこなせません。その分、一台一台を大切に扱わせていただいているんです」と矢野口さん
工場を見学させてもらうと、最新の設備と塗装されたばかりの特装車がピカピカと輝いていました。 お客様の要望に合わせたダイナミックなカラー、細部までこだわった丁寧な塗装、 メンテナンスを行うスタッフの隙のない動き、すべてにプロフェッショナルな仕事が詰まっていました。
働きやすい環境でチームワークを発揮
浜通り営業所は、働きやすさも魅力のひとつです。
「私たちはサービス業なので『人』がすべてなんです。なので、第一に働き手に気持ちよく
仕事をしてもらうことを重視しています。そうすることで、お客様にも気持ちよくサービスを受けてもらえるんですよね」と矢野口さんは話します。
例えば、快適に仕事ができるように作業服はすべて会社がクリーニングに出しているそうです。
毎日、真新しい作業服に取り替えるのはもちろんのこと、午前中1枚、午後1枚のように着替える方もいるのだとか。
また、遠方からの応募や移住にも積極的に対応していて、社員寮も完備しています。
「人対人の仕事なので、チームワーク良く働ける環境を大切にしています。特装車は永続的に需要があり、 環境美化の観点からもやりがいのある仕事だと思います。この仕事に誇りを持って働いてくれる一人ひとりが会社の宝ですね」
福島で暮らしを支える存在になっていきたい
東京営業所から浜通り営業所へ異動してきた安藤祐さん(左)、 塩谷正史さん(右)にもお話を伺いました。
ーーこの仕事のやりがいを教えてください。
安藤さん:以前も整備の仕事をしていて、中途採用でこの会社に入りました。この会社に入って初めて、
吸引車などの特装車を知ったのですが、他の会社ではできないようなことにチャレンジさせて
もらえることにやりがいを感じています。
塩谷さん:私は新卒でこの会社に入ったんですけど、普通の自動車を取り扱う会社では見ないような特装車に触れるので仕事は楽しいです。人間関係もいいので、ストレスなく仕事ができていると思います。
ーー福島にはいつから異動になったのでしょうか?
安藤さん:営業所の立ち上げと同時に福島にきたので、こちらに来て4年になります。
子どもが小学校に入学するタイミングだったこともあり、今は寮で単身赴任をしています。
塩谷さん:僕は、営業所が立ち上がる前の除染事業を行っていたときから福島に関わっています。
そのときに泊まっていた下宿先のご飯がおいしくて、仕事から帰ると『おつかれさま』と言って
出してくれるんですね。10キロ以上太ってしまったんですけど、ご飯のおいしさには負けましたね(笑)
ーー安藤さんは単身赴任ということですが、福島の生活に不便さは感じないですか?
安藤さん:高速道路が近いので便利で、神奈川の家には毎週帰れています。買い物の面では、 寮の近くにスーパーがあるんですけど、そこのお刺身が美味しいので、早く帰れた日はスーパーで 海鮮ものをゲットするのが都会とは違う楽しみになっています。
ーー福島に来て生活に変化はありましたか?
塩谷さん:僕はもともとインドア派なので、東京で暮らしていた時と、さほど変わりません。 車がないと多少出かけにくいこともありますが、それほど不便さは感じないですね。 ただ、車通勤なので会社帰りに飲みに行くことがなくなったのは少し寂しいですね。
ーー最後に今後の展望を教えてください。
安藤さん:塗装の現場で責任者の立場になって、下についてくれる人も増えてきました。
これから更にチーム全体の技術を磨いて、福島で「矢野口自工」の名前をもっと知ってもらえるよう、
みんなで頑張っていきたいです。
塩谷さん:周りにこのような大きな整備工場がないので、今後は乗用車や大型車の整備や板金、
塗装まで引き受けられるような体制にしていきたいです。福島という新たな拠点で、
車両に関する困りごとを全部まかせてもらえる存在になっていければと思います。
暮らしを支える「特装車」を扱う矢野口自工は、最新の設備、高い技術、人の力によってサービ
スが提供されています。心地よい環境で働くからこそ、一人ひとりが輝き、
より良いサービスに繋がるのかもしれません。
「特装車を通して社会に貢献していきたい」という心強い存在が、福島を拠点に今日も活躍をしています。
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取材 2022年9月
取材・執筆 奥村サヤ
撮影 中村幸稚 -
矢野口自工株式会社
福島浜通り営業所:福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字仲丸1-72
業種:自動車整備業、プラントメンテナンス業、製造業、販売・レンタルほか
URL: http://www.yanokuchi.com
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