INTERVIEW

インタビュー

安心してドローンを使える社会を目指して。いつか当たり前になる未来を福島で創る「WorldLink & Company」のこれから

ドローンの販売や産業向けソリューションなどを展開する「株式会社WorldLink & Company (以下: ワールドリンク)」は、「ドローンと社会を正しくつなぐ」をミッションに、事業を展開しています。

京都に本社を置くワールドリンクですが、2023年12月には福島県双葉町に福島サービスセンターを開設予定であり、現在新社屋を建設しています。福島でドローンを使って、今後どのようなチャレンジをしていくのでしょうか。

人事責任者の須田美智子さんと、Uターンで転職した菅原将士さんに、ドローンで描く福島の未来について伺いました。

株式会社 WorldLink & Company

執行役員人事担当 須田美智子さん
ソリューション統括事業部カスタマーサポート課 菅原将士さん

無限に広がるドローン産業の可能性

「2014年に創業されたワールドリンクは、主にドローンを中心としたロボティクスの導入から運用コンサルティング、販売、修理・メンテナンスまでのワンストップサービスを提供しているスタートアップ企業です。

最近では、デジタルデータへのアクセシビリティを向上させるために、地理空間プラットフォームの提供も開始しており、より広範な成長を目指しています。」

こう話すのは、人事責任者の須田美智子さん。創業から会社の成長を見守り続けてきた一人です。

現在、ドローンはさまざまな分野で活用されています。農業では、高齢化や人材不足といった課題を解決するためのツールとして、点検・整備作業では、高所など危険が伴う場所でも安全な作業を可能とするために、ドライバー不足が課題となっている物流では、道路事情に関係なくドライバーなしでの配送も可能となります。

そんなドローンにいち早く目をつけたワールドリンクは、京都に日本初の実店舗型総合専門店「SkyLink Japan」の出店をするほか、ドローンビジネス事業者や愛好家向けの総合プラットフォーム「UAVOOM」の開設をするなど、業界をけん引する存在です。現在までに北海道、福岡など全国にサービスセンターを設置し、事業展開を行ってきました。

福島県では、2020年に南相馬市の産業創造センター内にサービスセンターを開設。2021年には福島県双葉町と企業立地協定を締結し、2023年12月にドローンに特化した総合サービスセンターを開設する予定です。

双葉町に拠点が出来るまでの間、一部業務を先行して実施するために福島浪江サービスセンターを開設し、現在2名のスタッフが機体の整備やメンテナンス、部品の管理をメインにドローンを扱った業務全般を行なっています。

双葉町に「福島サービスセンター」を開設

「現在双葉町に建設中の新社屋『福島サービスセンター』は広大な敷地にフライトスペースも備え、現状の業務からさらに可能性が広がる予定です」

須田さんは期待に胸を膨らませます。

(提供写真)2023年双葉町に完成予定の福島サービスセンター

福島サービスセンターでは、全国で産業利用されているドローンの保管・メンテナンスのほか、講習会や操縦者の教習、新規技術の開発事業など、ドローンを有効利用していく場を広げていく計画です。

今後、ドローンの可能性はますます広がっていきますが、そもそも、京都に本社を置くワールドリンクが双葉町での事業展開を決断するに至った背景にはどのような想いがあるのでしょうか。

「弊社は、ミッションとして「社会とドローンを正しくつなぐ」ことを掲げています。2016年の熊本地震の際には、高速道路が寸断された中で迅速に行動し、特に被害が深刻だった益城町の家屋被災状況や南阿蘇村の阿蘇大橋崩落現場を、ドローンを活用して調査しました。災害時においてもドローンの有益性を示すことができました。

また、双葉町は原発被災地域の中でも復興が進まない地域とされています。我々はテクノロジー産業の一員として、少しでも復興に寄与したいという想いを抱き、この地域に拠点を設けることを決定しました。我々の力を通じて、双葉町の復興に寄与できることを心から願っています」

Uターン・未経験からドローン業界へ

双葉町での業務拡充にともない、ワールドリンクでは一緒に働く仲間を募集しています。

「幸いにも社員に恵まれて、浪江町のスタッフは全国の社員の中でも良い人No.1、No.2に名前が上がるほど。とても良い雰囲気で働いてくれているんですよ」

そう言って紹介してくれたのが、東京からUターンし、現在福島浪江サービスセンターに勤務する菅原将士さんです。

南相馬市出身の菅原さんは、18歳で上京。20年近くにわたって映像に関わる仕事を続けてきました。テレビマンとして激務をこなしてきた菅原さんですが、20代前半のころから「いつかは地元に帰りたい」という気持ちを持っていたそうです。

「東京という環境が自分には合わなかったのかもしれません。人が多かったり、空が狭いなあと感じたり、疲れちゃうなと思うことも多くて。平日はコンクリートジャングルで仕事に励み、休日は郊外に出て緑のある場所でリフレッシュし、また日常に戻る。東京での生活はそんな毎日の繰り返しでした」

菅原さんは2022年4月にUターンをし、6月にワールドリンクに入社しました。

「仕事の区切りがついたタイミングで退職して、実家へUターンしました。恥ずかしながら、仕事のことは何も考えず、まずは帰ってきちゃったんです(笑)。少しゆっくりしてから求人情報で仕事を探しました。その時に見つけたのが、ワールドリンクです。ドローンの仕事だったら映像で培ったスキルが活かせるかもしれないし、面白そうだなと思ったところから応募させていただき、今に至ります」

ワークライフバランスが充実

菅原さんは現在、機材の保管からパーツの管理・配送、ドローンの導入・運用サポート、農業系ドローンを使った農薬散布まで幅広い業務をこなしています。

しかし、前職とは異なる業務ばかりで戸惑うことも多くあるそうです。加えて、立ち上がったばかりの営業所での業務は、常に手探り状態。「だからこそ、貴重な経験ができています」と朗らかに笑います。

「ワールドリンクは経験の有無を問わずチャレンジを後押ししてくれる社風です。だからこそ、スタッフ一人ひとりが自分らしく活躍できる土壌があるんです。」

菅原さんは、Uターンをしたことでライフスタイルにも変化があったそうです。

「前職と違って週休2日制でしっかり休みが取れるため、休日は趣味のキャンプを満喫できるようになりました。おかげでワークライフバランスが整いましたし、昔からの気兼ねない友だちもいる。地元はやはり居心地がいいですね」

そして、「一緒に働く仲間を増やしたい」と力強く語ってくれました。

新しい技術で福島の産業を盛り上げていきたい

農業分野や建設現場、災害時対応や過疎地での物流利用をはじめとした地域課題の解決など、今後ますますドローンの需要は拡大が見込まれます。

その最先端技術を活用して福島の産業を盛り上げていくために、ワールドリンクは新天地でのチャレンジに踏み出しました。

「避難指示解除後の新しいまちづくりに私たちも参画して、未来に向けて、最先端技術の社会実装を進めていきたいです」と話す須田さんと菅原さん。今後、新社屋『福島サービスセンター』からさまざまな動きが展開されていく予定です。

「技術とアイディアでより良い未来を創る」という経営理念のもと、ワールドリンクは人々のより豊かな暮らしを実現するべく歩んできました。福島で活躍する仲間を増やし、事業を拡大していくこれからに期待が高まります。