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MYSTYLE|大人になった自分を支えてくれる絵本

住むところが変われば、ライフスタイルも変わる。ひと足先に移住した先輩に、移住後の暮らしに欠かせないモノや仕事道具を見せてもらいました。インタビューと合わせて読めば、彼らの毎日の過ごし方が見えてくるはず。

富岡町の町立図書館で働く東山恵美(ひがしやま・めぐみ)さん。東京の図書館で働いた後、富岡町にやってきた。そんな彼女が紹介してくれたのは『おかえし』(作:村山 桂子、絵:織茂 恭子)という絵本。

物語は、タヌキの家の隣に引っ越してきたキツネがお近づきの挨拶にいちごを贈ったところから、次第におかえし合戦がはじまるというもの。「幼い頃、母に何度も読み聞かせてもらった一冊」というこの絵本には、物語の中のユーモラスなやりとりに、読み手である母が笑いをこらえきれずに親子で笑いあった思い出があり、大人になった自分を支えてくれるそうだ。

東山さんは、移住する間近になった時のことを振り返る。「移住するのは嫌ではなかったのですが、心細くて涙が出てきたんです」。そんな時、この絵本をめくり心を落ち着かせたという。

目には見えないが、心の大地を耕してくれる。そんな不思議な本の力を、東山さんは信じている。

(2018/12/11取材)

  • 取材:石川ひろみ
    執筆:酒井瑛作
    撮影:小林茂太