INTERVIEW
インタビュー
「当たり前に電気が使える日常」を守る 南相馬市の株式会社メイワが照らす光
株式会社メイワ
現代を生きる私たちの暮らしに無くてはならない生活インフラの1つが電気。2011年の東日
本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故以降、電気の有効な使い方や、原子力に
頼らない再生可能エネルギーへの転換など、電気に関する情報や施策はアップデートされ続けて
います。
生活にも仕事にも欠かせない電気を「送電線」から支えているのが、南相馬市原町区に
本社を置く、株式会社メイワ。その業務内容と、仕事に対する社員の思いをうかがいました。
送電線に関すること、すべて。専門職をイチから育てる
メイワでは、送電線にかかわる業務一般すべてに携わっています。
福島県全域と宮城の一部の東北電力管内がメイワの業務エリア。
送電鉄塔の建設や送電線の張り替え、メンテナンスはもちろん、
送電線を設置する場所や、そこに作業に向かうための道を作る、
木や雑草の伐採なども大きな業務の1つです。
2022年2月に入社した小野寺恵太さんは、まさにその伐採や草刈りの業務にあたっています 。前職は東京の恵比寿で営業職に就いていたという小野寺さんですが、全くの異業種への 転職に戸惑いはなかったのでしょうか。
「我が社では、資格取得に関して会社が積極的にサポートしてくれます。未経験であっても 、自分のスキルを上げられる環境が整っているのでやりがいがあります」と小野寺さん。 入社半年で、すでに5つの資格を取得したとのこと。また同じ年に大卒2名、高卒3名の 新卒社員が入社し、20代の同年代社員は10名ほどいるそうです。 総務部長の森岡賢治さんは「資格取得制度、報奨金や手当なども準備しています。送電線に 関する業務はすべて専門職なので、未経験者が技術を習得するまでには5~10年 かかることもあります。若いうちに入社してもらえると、いくつかの業務を経験しながら 適正も判断できますし非常に有難いですね」と話します。
「電気を守る」ために、社員と地域を守る メイワの行動指針
「それぞれの適性はもちろん、社員の心身の健康を第一とするため、『安全の行動指針』と
『品質の行動指針』を定めています」と森岡さん。社内では定期的に「安全懇談会」も
行っており、現場の情報共有も行われています。
災害など緊急時には昼夜問わずの24時間対応が求められること、通常業務も高所や
山中などで行われることも多く、社員の健康管理は最大の留意事項です。
「安全第一は健康から。毎日確認、把握に努めています。転落事故防止はもちろん、
夏は熱中症、秋には蜂対策と、業務や季節に合った対策が欠かせません」。
災害時の出勤には、時間外手当や振替休暇の付与、有給休暇も積極的に取得
するよう推進しています。
また、地域の環境保全活動として、会社周辺の清掃のほか、東日本大震災以降、2019年に9 年ぶりに海開きを行った、市内北泉海水浴場のビーチクリーンや、花見シーズンには同じく 市内の夜の森公園の清掃を行うなど、地域を守る継続的な活動も続けています。
地元企業への思い 「会社と一緒に成長できる」
森岡さんは、会社の所在地と同じ、南相馬市原町区の出身です。小野寺さんも、パートナー
の実家が南相馬市だったことが縁でIターンしました。地元企業で働く思いについても
うかがいました。
「私は元々、地元企業で働きたいと思っていました。大学の4年間は東京に出ましたが、働
くのであれば地元でと、地元企業に就職しました。南相馬市や飯舘村で、事務方として
20年以上働いてきました。当社には2021年の4月から勤務していますが、事務と現場
とのコミュニケーションを図りながら、電気インフラを維持する業務にあたって
います」と森岡さん
。
地元で働くことに関しては「今も大きく変わらないと思いますが、私たちの時代は県外に進
学した人がUターンするのは、1~2割ほど。ほとんどの人が地元には戻らなかったので、
特に両親は非常に喜びましたね。やはり生まれ育った土地なので、という思いは強い
ですね」。
埼玉県出身で東京で働いていた小野寺さんは、結婚して子どもを育てるにあたり、 奥さんの実家の近くで自然豊かな場所がいいという思いから、南相馬市へのIターンを 決めたそうです。「元々アウトドア好きだったので、地方で暮らすことに抵抗はありま せんでした。もちろん都心と全く環境は違いますが、近所はもちろん、車を少し走らせ れば自然豊かな場所にいくらでも行けますし、買い物などにも困りません。1時間弱で 仙台にも行けますしね。子どもが大きくなったら、地元で一緒にキャンプするのが 楽しみなんです」と笑顔を見せます。 仕事に対する思いを聞くと「会社自体が、更に成長していこうという方針で、社長や 部長の思いがダイレクトに伝わってくる職場なので、会社の成長に合わせて自分も成長 して行こう、という気持ちになれます」という答えが。入社して約半年の小野寺さんが そう思えるのは、社内のコミュニケーションや指示伝達が円滑である証かもしれません。
地元企業としての情報発信 若い人の思いを届けたい
最後に、今後進めていきたいことをお2人にうかがいました。
総務部長の森岡さんは「地元・南相馬市に、生活インフラを支えるという重要な業務を行う
企業がある、ということを伝えていきたい」と話します。昨年度、今年度と新卒採用が
続きましたが、それまでは中途採用が中心で、年齢層も高めだったとのこと。
「専門職で、技術習得の時間と体力が必要なため、若いうちに働き始めてもらえるに越した
ことはありません。今まで新卒の応募が少なかったのは、地元企業の存在が知られて
いなかったことも大きいのではと感じています。学校への企業紹介やWebでの発信も強め
ていきたいです」。メイワでは寮も完備されているので、県外からの勤務も可能で、社員の
約4割は県外出身なのだそうです。「地元はもちろん県外からも、がんばってやって
いただける、思いを持った人に来ていただきたいです」。
20代社員の小野寺さんは「会社も、若い人からの発信を聞き入れようという方針なので、
若者だからこそ気付くことを、若い社員が発信していくような動きをつくれればと思います
」と希望を語ります。「業務を行う中で『責任のある仕事をしているんだな』と実感してい
ます。そういった仕事のやりがいも伝えていきたいですね」。
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取材、執筆:山根麻衣子
写真、コーディネート:中村幸稚
※本社社屋、現場、倉庫の写真は、株式会社メイワ提供 -
株式会社メイワ
http://www.meiwa-net.co.jp
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