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Katsurao AIR 2024 OPEN STUDIO vol.2 活動報告会

2024年11月21日に、福島県葛尾村で活躍するアーティストの活動報告会に行ってきました。

葛尾村とアーティスト

葛尾村は、福島県の浜通りに位置する中山間地域です。2011年に発生した東日本大震災に伴う原発事故で、葛尾村も5年以上にわたって全村避難を余儀なくされました。2016年に一部区域を除いて避難指示が解除されたものの、2024年12月時点で、約1,200名の村民の3割弱の方しか帰村していない状況が続いています※1。

そんな中、葛尾村では『「葛尾らしい」地域資源の魅力発信』をキーワードに、県外から多くの芸術家・クリエイター(アーティスト)を呼び込む事業に取り組んでいます。
事業の企画・運営を行っているのは「Katsurao Collective(カツラオコレクティブ)」。
芸術家やクリエイターの葛尾村への移住を図るほか、地域住民との協力のもと、葛尾村に興味を持ってもらえるようなコンテンツを持続的に創造してもらうことで、交流・関係人口の創出、さらには移住・定住人口の増加につなげることを目指しています。

Katsurao AIRとは

Katsurao Collectiveが行う事業の一つが、この記事のタイトルにもなっている「Katsurao AIR」です。
AIRとはArtist-in-residenceの略で、アーティストなどに一定期間葛尾村に居住してもらい、創作や活動をしてもらうこと。これをとおして葛尾村の魅力を発信、移住希望者にPRすることを目指すものです。
スタッフが葛尾村を訪れた11月21日は、葛尾村で活動する5名のアーティストによる活動報告会が行われていました。現在は学校としては使用されていない葛尾中学校の校舎をメイン会場とし、その他、近隣の施設や空き家も報告会の会場となっていました。

参加アーティストのおひとり、千葉県から葛尾村に来て創作活動を行っている大川友希さんが、葛尾中学校で展示した作品について詳しくお話を聞かせてくださいました。
教室を『民俗学者にあこがれた美術の先生が、葛尾村に伝わる「3匹獅子舞」について調べたメモなどを壁に貼り付けた美術準備室』に見立てた、教室そのものが作品となっている空間です。

大川さんのお話では、葛尾村の3匹獅子舞の登場人物は「太郎」「次郎」「花子」の3人と道化の「岡崎」の計4人。
腹に着けた太鼓を打ちながら舞を舞います。元禄時代に葛尾村にある日山山頂の神社でで舞を奉納したと伝わるのですが、その記録が残っていないのだとか。教室には、大川さんが3匹獅子舞について調べた資料がずらりと並んでいます。
架空の美術の先生がいる架空の美術準備室は、まさに「架空の美術の先生の、本当かもしれない美術準備室」です。3匹獅子舞を見に行ってみたいという衝動に駆られるような空間でした。

今度は渋谷ヒカリエで

12月25日からは渋谷ヒカリエで、Katsurao AIRに参加するアーティストたちの展示会が開催されるそうです。テーマは「共生」。 葛尾村から生まれた作品を、東京で見るチャンスです。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
期間:12月25日~30日 11:00~20:00 入場無料
場所:渋谷ヒカリエ8F 8/CUBE 1,2,3

  • 取材   HOOK編集部
    写真・文 本多正幸

    ※1:葛尾村ホームページ(https://www.katsurao.org/soshiki/2/kison.html)