INTERVIEW

インタビュー

エビの養殖×水道インフラ管理で地域を 支える「HANERU葛尾」の挑戦(後篇) HANERU葛尾で働く社員インタビュー

株式会社 HANERU葛尾

飼育管理部長 大薮智樹さん
飼育管理部  メンデス コルテス ベンジャミンさん
企画部    菅野海琴さん

山々に囲まれた葛尾村。2022年、この村に国内最大級となるエビの陸上養殖場「HANERU葛尾」がオープンしました。村の豊かな地下水を汲み上げ、バナメイエビの養殖を行っています。

そんなHANERU葛尾には、地域や国を越えて多様な人たちが働いています。社員の皆さんに、入社したきっかけや仕事のやりがい、葛尾村の魅力を伺いました。

葛尾村の名産品を作りたい

静岡県浜松市出身の大薮智樹さんは、水産関係の大学を卒業後、餌料メーカーに10年以上勤めていました。知り合いから福島で陸上養殖場を立ち上げる話を聞き、二つ返事で「やります!」と答えたそうです。

「大学時代に日本の食料自給率の問題に触れて以降、日本で作ったものを日本人が食べるという当たり前のサイクルを失いたくないと考えていました。もともと水産関係に興味があったこともあり、自分たちで食料を育てることのできる陸上養殖に惹かれたんです」

2022年、大薮さんは家族とともに葛尾村に移住。「HANERU葛尾」初のスタッフとして、代表の松延さんと二人三脚で人工海水を作る段階から会社を支えてきました。

そんな大薮さんの目標は「葛尾村の名産品を作ること」と熱く語ります。

「日本ではほとんど海面養殖を行っていて、陸上養殖はまだ始まったばかりの分野です。でも、海外では陸上養殖のほうが盛んなんですよ。海外のやり方を学びながら、葛尾村の名産としてエビを売り出すことをファーストステップとして目標に掲げています。いずれ、葛尾村から陸上養殖を全国へ広めて行けるようになりたいですね」

2児の父でもある大薮さん。葛尾村での子育ても楽しんでいると話しています。

「葛尾村の小学校は、1・2年生の合同クラスのうえに、1年〜6年生まで全員で学べる機会もあるんです。色々な学年の子どもたちとコミュニケーションを取れる環境は大きなメリットだと感じています。葛尾村は四季がはっきりしていているので、季節ごとの良さを感じながらここでの子育てを楽しんでいます」

陸上養殖は、可能性に満ちている

コロンビア出身のメンデス_コルテス_ベンジャミンさんは、1999年から南米でエビの養殖に関わってきた豊富な経験を持つエキスパートです。

「南米では、エビの養殖はかなり進んでいます。今はマングローブなどの環境を守るためにシステムもどんどん新しくなっているんです」

鹿児島大学水産学部進学のため来日したベンジャミンさんは、甲殻類の研究を行いました。その後、日本人と結婚し「陸上養殖の仕事に就きたい」と思いながらも、当時は仕事がなく、16年間貿易関係の仕事に従事していました。

転機は、福島大学に進学した息子さんから訪れます。「福島でエビの陸上養殖をはじめたらしいよ」と聞いたベンジャミンさんは、すぐにHANERU葛尾に電話をしたそうです。

当時を振り返り、松延社長はこう話します。

「いきなりカタコトの日本語で、働きたいと電話が来たからビックリしました。ぜひ一度来てみてくださいと伝えたら、本当に来たのでさらに驚きました(笑)今では、うちのムードメーカーであり、なくてはならない存在です」

そんなベンジャミンさんは今、新しい挑戦に胸を躍らせているといいます。

「陸上養殖は未来の食料生産に欠かせない分野です。環境に優しい養殖方法や効率的な生産方法など、まだまだ改善できる点はたくさんあります。日本の技術力と私たちの経験を組み合わせれば、世界をリードする養殖システムができるはずです。難しい仕事ですが、やりがいのある素晴らしい仕事です」

葛尾村はめちゃめちゃいい人が集まる場所

2024年7月に入社した菅野海琴さんは2年半国内外を旅して、葛尾村に移住しました。現在はトリプルワークの充実した日々を送っています。

「最近ではスリランカに1ヶ月滞在していました。帰国後、縁あって葛尾村のゲストハウスで働くことになったのですが、村の居心地がよくてそのまま住むことにしたんです。HANERU葛尾では主にイベント運営やSNSを担当しています。それ以外には、葛尾村移住定住支援センターで働いたり、最近オープンしたカフェ『シズク』でもアルバイトをしています」

世界を旅した菅野さんは、葛尾村の魅力を「めちゃめちゃいい人たちが集まるところ」と教えてくれました。

「田舎ならではの閉塞感みたいなものがなくて、おじいちゃん、おばあちゃんも本当に温かい人たちばかりなんです。同年代の子たちは料理上手で、休みの日は集まって皮から餃子を手作りしたりしながら、みんなでご飯を食べる時間が楽しいです」

HANERU葛尾も、例に漏れず「いい人」たちばかりという菅野さん。ここでの暮らしも仕事もめいっぱい楽しんでいる様子が伝わって来ました。

「HANERU葛尾は、みんなの熱量がすごいんです。お昼ご飯を食べている時も、いつもエビの話をしているくらい(笑)チームワークも最高だし、ここで働けてよかったなって常に思わせてくれる会社です。これからもっと多様な人たちが集まって、会社も村も盛り上げていけたらすごく素敵だなと思います」