COLUMN

連載

双葉町「ふたばみんな食堂」に行ってきました

「毎月第二金曜日の夕方に、『ふたばみんな食堂』をやっているんですよ。」
ふたばプロジェクトの齊藤泰道さんからお話を聞き、「大人も食べられる子ども食堂みたいなものかな?」と思いつつ、双葉町へ取材に行ってきました。

取材当日、2026年2月13日はJR常磐線の双葉駅で下車。
東口の駅前には、小ぢんまりとしながらもきれいに整備された駅前広場を挟んで、町役場とAEONが並んでいます。

駅舎の隣に立つ茶色い建物は、震災前まで使われていた旧駅舎。
ここにはふたばプロジェクトのスタッフが常駐し、休憩スペース兼情報発信の場として活用されています。
旧駅舎の時計は震災当日14時46分で止まってしまったそう。今もそのまま保存されています。

駅の少し北側に新しい跨線橋ができていたので、その上から付近の様子を撮影してみました。
双葉駅の西口にまだ新しい家々が建ち並ぶエリアが見えます。ここが双葉町駅西住宅、通称「駅西住宅」です。
2024年に総戸数86戸が完成した駅西住宅は、2025年度のグッドデザイン賞を受賞したそう。今日お邪魔する「ふたばみんな食堂」は、駅西住宅にある集会場で、17時からオープンします。

16時少し前に到着した集会場では、提供する料理の仕込みの真っ最中。
仕込みの合間に、ふたばプロジェクトの齊藤泰道さんにお話を伺いました。

今日のメニューはきんぴらごぼうとけんちんうどんで、50食分用意するそうです。
食材として使われる人参と白菜は双葉町で取れたものだとか。生産者さんのご好意の賜物ですね。地元のためにという気持ちが伝わってくる気がします。
ふたばみんな食堂は、2025年8月に子どもたちのために企画された“かき氷屋さん”がキッカケとか。「それを機に地域に生まれた任意団体「ふたばネクストリーフ」の活動の一環として、毎月第二金曜日に開催しているんです。参加は自由で、お子さんはゼロ円、大人の方には200円をいただいています。」

お話を伺っているうちに17時になりました。オープンの時間です。早速お客様が入り始めました。駅西住宅にお住まいの方でしょうか。
しかし、オープン早々トラブル発生?
きんぴらごぼうは出来上がっているものの、うどんを茹でるためのお湯がまだ沸いていないとか。大きな鍋だから時間がかかるのでしょう。最初の何食かを電子レンジで調理して提供するうち、無事お湯も沸いたようです。

仕込みの時から「事前に聞いていたよりスタッフが多いのでは?」と思っていたのですが、当日はインターンシップで双葉町に滞在している大学生も参加していたそうです。三角巾とエプロン姿で、調理に配膳にと活躍中。
皆さん関東から来ていて、一か月くらい滞在するそうです。今日は地元の方と触れ合う良い機会ということで、一緒に食卓を囲んで談笑する風景も見られました。

「18時を過ぎるとお客様の数も増えてきますよ」と齊藤さんがおっしゃっていたとおり、小さなお子さんを連れたご家族が訪れるなど、徐々に席が埋まってきました。レコードプレーヤーから流れてくる「もしもピアノが弾けたなら」が、福島県のあたたかさを感じさせてくれます。
食べ終わってすぐ帰る方も、席でおしゃべりをしている方も、皆さん笑顔で過ごされていました。

取材スタッフは東京へ帰る電車の都合で、19時前に会場を後にしました。50食用意した料理はすでに残り10食とか。これからスタッフの方もいただくそうなので、見事完売です。

福島第一原発が位置する、福島県双葉町。
原発事故に伴う特定復興再生拠点の避難指示が解除されたのは2022年8月と、周辺の市町村で最も遅くなりました。
双葉町役場のホームページには、1月31日時点の双葉町の人口は5,061人とあります。ただし、これは双葉町に住民登録している人の数。齊藤さんは、「2月1日時点の双葉町の居住人口は193人で、そのうち20歳未満の子どもは12人です。避難指示が解除されてから、双葉町の居住人口が200人を超えたことはまだありません」と話してくれました。
帰還した人より新たに移住してきた人の方が多いという話も聞きますが、新しく生まれ変わった町で新しい暮らしが確実に始まっている、ふたばみんな食堂はそんなことを改めて感じさせてくれました。

記事冒頭に載せた双葉駅の旧駅舎も、今年の夏ごろに改装工事に入るそうです。行くたびに何かが変わっている双葉町を、是非一度訪れてみてください。

  • 取材   HOOK編集部 写真・文 本多正幸
  • (取材協力) 一般社団法人ふたばプロジェクト