INTERVIEW
インタビュー

川内村で工場長に。新しい生活の秘訣は仕事に熱中すること
河内理恵子さん
年齢:43歳
出身地:山口県
勤務先:株式会社リセラ
勤務地:双葉郡川内村
川内村の山々に囲まれた地に建つ、株式会社リセラの縫製工場。昨年10月にできたばかりの川内工場で、工場長を務めるのが河内理恵子さんだ。山口県から川内村に移住してきた河内さんにこれまでのお話を聞いた。
建設業での勤務を経て転職を決意
「以前は山口県で建設業に携わっており、事務全般を担当していました。女性が建設業で働くとなると、資格を持っていない限り現場のサポートが中心になることが多いので、なかなか厳しい環境だなと感じていました。もっとほかのことができるのではと考えるようになり、もともと洋裁の専門学校を出ていたので、その技術を生かしたいと思い転職を決めました」。
故郷の山口県を離れて福島県に移住
株式会社リセラの会長と知り合いだったことがきっかけで就職にいたった。
「まず岡山県にある本社に勤務した後、去年の11月に福島県の川内工場に移りました。だいぶ遠くまで来ましたが、長年住んだ山口から岡山に出た時点で、もうどこに行っても一緒かなと(笑)。どこで働くにもあまり抵抗はなかったですね」。
仕事は実践しながら覚えていく
現在は工場長として現場を仕切っている。
「弊社はスポーツウェアなど伸びる素材を得意としていて、今はヨガウェアの生産が多いです。納期に向けて、従業員の方々の仕事を一通り見ていきます。また、メーカーさんから送られてきたパターンを、CADやCAM(アパレル生産のためのコンピュータシステム)で対応できるようにデータチェックをします。CADはあまり経験がなかったのですが、岡山で研修を受けつつ実践しながら覚えていきました。初心者でも仕事をしながら慣れていくことができます」。
仕事以外での川内村の生活とは?
「この地域で新年会や公園祭りがあった時、区長さんに顔を覚えていただいたり、地域の方と交流したりして知り合いができました。あとこちらへ来て印象に残っているのは、冬にすごく雪が積もったことです。山口ではすぐに雪が溶けてしまうので嬉しかったですね。自然の中に工場があるので、四季の変化を身近に感じます」
しなやかに生活するコツはいたってシンプル
新たな土地に移住して仕事を始めることは大変なことだが、まわりの環境はあまり気にならないという河内さん。しなやかに生活するコツを聞いた。
「もし県外からの移住を考えている人は、知らない土地や人に不安を抱きますよね。でも村の方はみなさん優しいので、困っていると言えば助けてくれます。先日も実習生の自転車が足りなくて困っていたら、従業員の方が使ってない自転車を貸してくださいました。また、ここは都会のような便利な場所ではないので、それがストレスになる方もいると思います。私は仕事をこなすのに精一杯で、本当に毎日一生懸命(笑)。仕事に熱中することで、まわりのことはあまり気にならなくなります」。
取材ではあまり多くを語らない河内さんだったが、工場に入ると途端にいきいきと仕事を始めた。“移住”というとたくさんの不安が浮かび、とても重い決断に感じる。たしかに重いのだが、河内さんはとても軽やかに見える。「仕事に熱中する」という答えが物事をシンプルにしてくれるのかもしれない。
(2018/7/4 取材)
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取材・執筆:石川ひろみ
撮影:出川光
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株式会社リセラ
住所
・本社:〒711-0937岡山県倉敷市児島稗田町2787
・川内工場:〒979-1202福島県双葉郡川内村大字下川内字田ノ入114-1
詳細ページ:http://www.resela.co.jp/