INTERVIEW

インタビュー

葛尾村のニット工場で里山の移住暮らしを満喫中

稲部文世さん

出身地:東京都 
勤務先:金泉ニット株式会社
勤務地:葛尾村 
勤務期間:2018年~

東京生まれ東京育ちの稲部文世(いなべ・ふみよ)さんは、2018年に完成した金泉ニット福島工場の立ち上げメンバーとして単身、葛尾村に移住してきた。これまでの生活からがらりと一変した稲部さんの里山暮らしの日々についてお話を伺った。

どんなところで働きたいかを重視

「元々山歩きや自然が好きで、5~6年前から里山で暮らしてみたいという願望はずっとありました」。開口一番、そう話した稲部さん。地方へのIターンを検討していた彼女が目にしたのが、葛尾村に新しくニット製品の製造工場ができ、その人員を募集しているという記事だった。

「以前は旅行会社や商社で働いていました。製造業の経験はありませんでしたが、自分がどんなところに住みたいかということを一番に考えた時、ぜひここで働きたいと思いました。何度か山歩きで訪れたことのあった福島県は、東京からも意外と近いのに自然を身近に感じられる場所として魅力的に映ったんです」。

激動の変化にも不安は一切なし

2018年の2月に採用が決まり、4月に前職を退社。5月には葛尾村へ移住。稲部さんにとって大きく環境が変わる激動の3ヶ月間だった。不安はなかったのだろうか?
「移住には住居探しが大変だと聞きましたが、住むところは会社が準備してくれました。他の移住者の方に比べると恵まれていたと思います。短期間で環境が変わりましたが、とても忙しかったのでかえって不安はありませんでした」。

金泉ニットでは生産現場で指示を出す役割を任されている。「商社で働いていた経験もあったので、何となく仕事の流れはイメージできました。専門的な知識については最初から勉強だと思っています。立ち上げから関わっているせいか、上下関係があまりないのもいいところです。みんなで相談し、試行錯誤しながら仕事ができるのがやりがいです」。環境を大きく変えるのには大きなエネルギーがいるはずだが、何でもしっかりと決断し実行に移せる稲部さん。とても芯の強い人だと感じた。

自由気ままな過ごし方と村の課題

そんな稲部さんから見た葛尾村はどう映っているのだろうか?

「もっと不便なことを想像していたので、意外と不便さは感じていないんです。インターネットも使えますし、休みの日にはふらっと車を走らせて気になったところで山歩きをしています。一番良かったことは夜になると音が何もしないこと。風の音や虫の声だけが聞こえてくるのがとても心地よいですね。スローライフを楽しんでいますよ」。

一方で、震災の爪痕の大きさも実感しているという。「一見平和に見えますが、村の人たちがあまり戻ってきていないことを実感しています。壊されたものを修復するのは難しいことなので、長いスパンで見なければならない問題だと思います」。

その意味でも新たな雇用の機会を生み出す金泉ニットのような会社ができた意義は大きい。「私たちのようによそからの力も借りることで、少しずつ活気が出て村に戻ってきてもらえたら。」。

葛尾村でやりたいこと

「葛尾村に来て8ヶ月になりますが、まだ村の人との交流はあまりできていないんです。ヨガの資格を持っているので、村の人に教えていければ。村の公民館でのヨガ教室というような形で貢献できたら嬉しいですね」。

今後やってみたいことを尋ねると、積極的に動くタイプじゃないからと謙遜しながらもこう答えてくれた稲部さん。もう一つ、里山暮らしに憧れていた稲部さんがぜひチャレンジしたいことがある。「今は会社の社宅なので。いつかは自分の家を持って畑仕事をしてみたいですね」。

移住してきてまだ8ヶ月。純粋に田舎暮らしに憧れて福島へ移住してきた稲部さんの葛尾ライフは、これからますます充実することだろう。

(2019/2/7取材)

  • 取材・執筆:七海賢司
    撮影:舟田憲一